著者情報
名前:吉川博昭
自己紹介:
大阪府出身。都内医学部を卒業し、医師免許取得後は麻酔科やペインクリニックを専攻し、複数の医療機関で臨床業務に携わってまいりました。記事の執筆や健康に関連した商品の監修には、平易でわかりやすい表現を用い、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」を日常的にモットーにしています。
取得資格:
医師免許・日本医師会認定産業医・日本ペインクリニック学会認定専門医
当記事では、適応障害と診断された方が現状の仕事とどのように関わっていけば良いのかを中心にお伝えいたします。
適応障害の方が受給できる失業保険や傷病手当の給付金については、以下にて解説しておりますので、そちらをご覧ください。
1. 適応障害とは?
適応障害とは、ストレスが原因で気分の落ち込みや不安、焦りなどの身体症状が出る精神疾患で、日常面では暴飲暴食となったり、仕事面では意欲的に取り組むことができないことや、虚無感に苛まれたりします。
また、 ストレスフルな現代社会で我慢しすぎると、遷延化を招く対処が必要で、 仕事で休暇を取るなど適切な休息や対処により後遺症なく治ることも比較的多いです。
1.1. 適応障害の基本的な定義
ストレス要因に対して過剰な反応を示し、個人で消化できるキャパシティーを超えることで様々な症状を引き起こします。
生活環境の変化や対人関係のトラブル、 仕事のストレスなど、様々で複数の要因が交絡することも少なくありません。
1.2. 精神的・身体的影響や症状
症状は多様で、精神面や身体面に不調をきたすことが問題となります。
精神面への影響は、日常生活や仕事、人間関係の困難を引き起こすことが多く、不安や抑うつ感を招きます。身体面への影響として、慢性的な疲労感、胃痛、頭痛、睡眠障害などがあり、生活の質を低下させ遷延化に関連することが知られています。
1.3. 他の精神疾患との違い
適応障害は、内因性うつ病や統合失調症といった遺伝的背景の交絡の報告もある狭義な精神病圏内の病気とは性質が異なります。
神経症に分類され特定のストレス要因に対する反応として発生することが多く、環境調整と休息で症状が楽になるケースが多いです。
治療に対する反応性もよく、社会経験を積むことだけで良くなる比較的予後の良い疾患です。
2. 仕事と適応障害の関係
適応障害は、人間関係やスキルの部分で挫折を経験することが多いでしょう。
2.1. 仕事が適応障害を引き起こす原因
業務内容や、職場での対人関係の問題も大きな要因です。
雇用形態によるものは心理部分には影響しますので、できれば就労前に綿密に確認した方が良いでしょう。
2.2. 職場でのストレスと環境の影響
業務内容に関しては、予測不能な部署移動や到達度テストを科されることなどで、ストレスが増しやすくなります。
上司や同僚からのサポートが不足していると、孤立感が強まり、適応障害のリスクが高まります。
2.3. キャリアや職場の変化が与える影響
転職や配置換え、役職の変更は、ストレスを引き起こすことが多いとされています。
特に会社内での評価については、スキルがあっても必ずしも評価されるとは限らず、未だ年功序列や人の好き嫌いで出世が決まっているのが現状です。
特に若い世代では社内での評価に左右されず、自分を信じて 仕事を遂行することに注視すべきだと思います。
3. 適応障害と診断された場合の対応方法
適応障害と診断された場合、早期に適切な対応を取ることが重要です。
3.1. 適応障害と診断されたらどうすべきか
適応障害と診断された場合、まずは自分の状態を理解し、適切な対応を始めることが重要です。
まず、専門の医療機関を受診し、ストレスの原因や症状について具体的に話し合い、対処方法について医師と相談すべきでしょう。
3.2. 医師により治療方法の紹介
適応障害に対する治療方法は、主にカウンセリングと薬物療法があります。
カウンセリングは、精神的な支えとなり、ストレスに対する対処法や思考パターンの改善を図るものです。
特に認知行動療法(CBT)などのアプローチが効果的です。心理士と共にストレスの原因を特定し、具体的な対処方法を学ぶことで、症状の軽減が期待できます。
薬物療法については、カウンセリングとの併用がオススメです。
副作用や適切な用量についての情報をしっかりと把握し、医師との連携を大切にしましょう。
4. 適応障害での休職と復職の手続き
適応障害によって休職、復職した際のプロセス、そしてサポートについて説明します。
4.1. 休職の必要性とプロセス
適応障害が深刻である場合、休職が必要です。休職には、医師の診断書が必要で、勤務先に申出を行います。
休職期間中は、治療に専念し、症状の改善に努めます。定期的に医師の診断を受け、状況に応じて休職期間の延長などを検討します。
精神疾患においては身体疾患より、治療期間を長期に要することが多く、理解のある医師や職場の事務担当と連絡を取り合うことが必要になります。
4.2. 復職の準備と環境調整
復職に向けた準備も重要です。まず、復職する際は、医師からの診断書を提出し、健康状態が復職に適していることを確認してもらうことが必要になります。
復職にあたっては、無理のない業務量や勤務時間の設定が重要です。
部門を超えた調整が必要なことも多いですが、調整が困難な場合は転職を勧めています。
4.3. 失業保険や傷病手当金のサポート
適応障害で休職した場合、経済的なサポートも重要です。
休職中は、失業保険や傷病手当金などの制度を利用することができます。
当社(MISV)では、失業保険や傷病手当金の申請手続きに関してサポートしており、健康回復に専念できる環境を整えることに配慮しています。
退職後、患者様が実際にいくらもらえるのか受給診断シミュレーションを当社LINEで無料実施しておりますので、ご興味のある方は以下よりLINE登録をお願いいたします。
5. 適応障害を予防するためにできること
適応障害を予防するためには、日常生活や職場でのストレス回避と管理が重要です。
5.1. 日常生活でのストレス管理法
規則正しい生活を取り、毎日の生活リズムを整えることで、体調を保ち、ストレスへの耐性を高めます。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、定期的な運動を心がけましょう。
ストレッチや有酸素運動、ストレスにならないレベルの人との関わりは大切でしょう。
5.2. 職場でのストレス軽減策
職場でのストレスを軽減するためには、業務の調整と人間関係の整理が大切です。
また空調や自分と関わりがなくとも会話している内容なども左右されることがあり、可能な限り溜め込まないで主張すべきだと思います。
5.3. 相談機関やメンタルヘルスサポートの活用
心理士の先生に相談することが大切だと思います。
ある程度長い時間をメンタルサポートに費やしてもらえないと、折衷解を見つけるには難しいと思います。
6. 適応障害に関するよくある質問
6.1. 適応障害はどのくらいで治る?
適応障害の回復には、個人の状況やストレスの原因、治療の内容により異なります。
一般的には、適応障害はストレスの原因が解消されることで改善し始めることが多いです。
治療を受けることで、早くとも3ヶ月程度を症状軽減に要することが多いとされています。
6.2. 復職するタイミングは?
復職のタイミングは、医師の診断と自分の健康状態を基に判断することが大切です。
まずは短時間勤務や軽い業務から始めることが推奨されます。
これにより、少しずつ業務に慣れながら、ストレスの管理がしやすくなります。無理のない形で仕事に戻ることが理想的です。
6.3. 適応障害でも仕事を続けることはできる?
適応障害を抱えていても、仕事を続けることは可能です。
ただ予後がよく患者様の多くが若いので、原則環境を変えて行動することを視野に入れるべきだと思います。
休職期間から、残留と転職の両睨みで準備することが大切だと思います。